「生まれたときからお尻ではなく、肩や背中、腕や足に青っぽいあざがある」「1ヶ月健診や3〜4ヶ月健診で指摘されたけれど、このまま様子を見ていて大丈夫なのだろうか」
小さなお子さんの体にある青いあざを見て、不安を感じている保護者の方は少なくありません。
この青みがかったあざは「異所性蒙古斑」と呼ばれるもので、お尻にできる一般的な蒙古斑とは異なり、自然に薄くなるまでに時間がかかりやすいという特徴があります。
0歳から2歳ごろまでの時期は、あざの状態を見極め、必要に応じて治療を検討するうえで大切なタイミングにあたります。
赤ちゃんの蒙古斑と「異所性蒙古斑」は何が違うのか
赤ちゃんのお尻から腰にかけて見られる青灰色のあざは「蒙古斑」と呼ばれ、日本人を含むアジア系の新生児のほとんどに見られるごく一般的なものです。
生後まもなくから目立ちはじめ、多くは就学前後にかけて自然に薄れていきます。
一方、同じような青みを帯びたあざが、お尻や腰以外の場所(肩、背中、腕、脚、顔まわりなど)にできることがあり、これを「異所性蒙古斑」と呼びます。
できる仕組みは通常の蒙古斑と共通していますが、薄くなっていくスピードが遅く、範囲や色の濃さによっては長く残りやすいという違いがあります。
異所性蒙古斑の症状としては、境界がやや不明瞭な青〜青灰色の斑状のあざで、痛みやかゆみなどの自覚症状はほとんどありません。
健康上の問題を引き起こすものではありませんが、露出する部位にできた場合は見た目の印象を気にされる方が多く、温泉・プール・薄着の季節などで人目が気になるという心理的な負担につながりやすいのが実情です。
異所性蒙古斑はどうしてできるのか
あざの色のもとになっているのは、メラニン色素をつくる細胞「メラノサイト」です。
おなかの中にいる間、メラノサイトは神経堤という組織から皮膚の表面(表皮)へと移動していきますが、その一部が途中で止まってしまい、皮膚の深い層(真皮)にとどまったまま生まれてくることがあります。
真皮に残ったメラノサイトがつくるメラニンが、光の反射・散乱の影響で青っぽく透けて見えることが異所性蒙古斑の正体です。
皮膚の表面自体に炎症や傷があるわけではなく、痛みやかゆみといった自覚症状もほとんどありません。妊娠中の過ごし方やお子さんへの日々のケアが原因で生じるものではなく、体質によるものです。
似たような青あざと見分けがつきにくいことも
0歳〜2歳の時期は、異所性蒙古斑以外にも青みや褐色を帯びたあざが生じることがあり、保護者の方だけで見分けるのは難しい場合があります。
太田母斑
生後数ヶ月ごろから、額・頬・こめかみ・白目など顔の片側を中心に現れることがある青〜褐色のあざです。
異所性蒙古斑とは異なり自然に薄くなることがほとんどなく、思春期以降に色が濃くなったり範囲が広がったりすることもあります。
青色母斑
ほくろのように盛り上がりのある、境界のはっきりした青いしこり状の変化で、平らな異所性蒙古斑とは触れたときの感触が異なります。
見た目だけでは判断が難しいため、気になるあざを見つけたら、自己判断せずに皮膚科専門医による視診やダーモスコピー検査を受けることをおすすめします。
なぜ0歳〜2歳のうちに一度相談しておいたほうがいいのか
異所性蒙古斑は、5〜6歳ごろまでに自然に目立たなくなるケースがある一方で、色が濃いものや範囲が広いものほど、そのまま大人になっても残りやすい傾向が報告されています。
「もう少し様子を見てから」と経過観察を続けているうちに、色が定着してしまうことも珍しくありません。
乳幼児期は皮膚が薄く、あざの色素も比較的浅い層にとどまっていることが多いため、年齢が上がって皮膚が厚くなってからよりも、レーザーの効果が出やすいと考えられています。
将来的に治療を選択する可能性がある場合、0歳〜2歳のうちに一度専門医の診察を受け、経過観察でよいのか、早めに治療を始めたほうがよいのかを確認しておくことには意味があります。
もちろん、色が薄く自然経過での改善が見込める場合は、無理に治療を急ぐ必要はありません。あざの色調・範囲・部位を踏まえたうえで、お子さんとご家族にとって負担の少ない方針を一緒に考えていきます。
赤ちゃん・小さなお子さまへのレーザー治療について
異所性蒙古斑の治療には、真皮内のメラニン色素にピンポイントで作用するレーザーを用います。
当院のピコレーザーは1兆分の1秒(ピコ秒)単位の短いパルスで照射する機器で、熱ではなく微細な衝撃波によって色素を砕くため、周囲の皮膚への負担を抑えながら治療を進められます。
乳幼児の場合、じっとしているのが難しいお子さんも多いため、施術時間をできるだけ短くし、麻酔用のテープやクリーム、冷却しながら1回あたりの照射を負担の少ない形で行います。
1回の照射で色が完全になくなることは少なく、3ヶ月前後の間隔をあけながら数回にわたって照射を重ね、段階的に色を薄くしていくのが一般的な進め方です。
施術後は赤みや軽い腫れが数日みられることや、まれに水疱や一時的な色素の変化(濃くなる・薄くなる)がみられることがありますが、多くは自然に改善します。
施術部位の日焼けは色素沈着の原因になるため、外出時は衣類や日よけで直射日光を避けるようにしてください。
保険診療について
異所性蒙古斑は、厚生労働省の承認を受けたレーザー機器を用いる場合、保険診療の対象となることが多い疾患です。
当院のピコレーザー(PicoWay)も厚生労働省承認機であり、保険適用で治療を受けていただけます。
自治体によっては乳幼児医療費助成の対象にもなりますので、窓口負担についても診察の際にご確認ください。
よくある質問
Q. 何歳ごろから治療を始められますか?
首がすわる生後3〜4ヶ月ごろを目安に治療を開始できるケースが多くあります。
あざの状態やお子さんの発育によって適した時期は異なりますので、まずは診察でご相談ください。
Q. 赤ちゃんに痛みや負担はありますか?
照射時にパチッとした刺激がありますが、麻酔用のテープやクリーム、冷却を組み合わせることで負担を軽くしています。
1回あたりの照射時間も短く設定していますので、まずは実際の状態を診てご説明いたします。
Q. 治療せず様子を見るという選択肢もありますか?
あざの色が薄く、範囲が狭い場合は、経過観察のみで問題ないこともあります。
すぐに治療を決める必要はありませんが、将来的な選択肢を確認する意味でも、一度診察を受けておくと安心です。
Q. 治療にはどのくらいの回数・期間がかかりますか?
あざの濃さや範囲によって個人差がありますが、3ヶ月おきに数回〜十数回程度の照射を重ねながら、段階的に薄くしていくケースが一般的です。
Q. 一度薄くなっても、成長してから再びあざが目立つことはありますか?
真皮のメラノサイトが十分に減少していれば再発のリスクは低いとされていますが、色素が完全にゼロになるとは限らないため、節目ごとに経過を確認していくことをおすすめします。
お子さんのお尻以外にある青あざは、体質によって生じる異所性蒙古斑であることが多く、ご家庭でのケアだけで色を変えることは困難です。
一方で、0歳〜2歳のうちに皮膚科専門医に相談しておくことで、経過観察でよいのか、早めの治療が望ましいのかを見極めやすくなります。
三木市のさかい皮フ科クリニックには皮膚科専門医が在籍しております。「赤ちゃんの青あざ、このままで大丈夫か不安」という方はお気軽にご相談ください。













